桜と母の思い出
今日もいいお天気
いつも見ている桜の木がほかの木よりも早く花が無くなったよ
これ、ソメイヨシノじゃないのかもしれんね、形もなんか・・・
今からもう3年前の事
歩行が困難になり要介護認定を受けていた母と同居するようになった
一緒に暮らすようになってから初めての春
実家から少し離れているけど近場に大阪市内でも有名な大きな公園があり
春は桜が咲き乱れ色々なイベントも催される
その日は今日のようにうららかないいお天気だった
昼食を終えてふと桜でも見に行こうかという気になり
母に問うてみた
母は歩行が困難になってから出かけるのを渋るようになっていたが
半ば強引に公園へ車いすを使い桜を見に行くことにした
ゆっくりと車いすを押しながら公園に向かう
ぽかぽかと日差しが暖かくて歩いていると少し汗ばんでくる
「あ、そうや、桜餅買って公園で食べよか」
途中のお店で桜餅とお茶を買い公園の中に入っていく
もうすごい数の人、人、人
桜の木の下ではシートを広げて陽気に食べたり歌ったり
広場では子供たちがはしゃぎながら走り廻っている
あまりに賑やかな場所は避けて車いすを止め私もベンチに腰掛ける
「買うてきた桜餅、食べよ」
と、小さく切って母の口元に運ぶ
おいしいか?と聞くとおいしいなぁと答える
桜きれいやなぁと聞くときれいやなぁと答える
その頃すでに認知症もすすんできていた母だったが
大きく目を見開いて満開の桜を見ていた
「日が傾いてくるとちょっと肌寒いな、食べるもん食べたし帰ろか~」
と私が言うと「ほな帰ろか~」と母が答えた
「来年も来ないとあかんから、リハビリがんばるんやで」
と言った時には母の返事はなく
都合の悪い事には返事せぇへんねんなと思っていたが
コロナ禍で本当にお花見ができなくなるなんて当時は想像もしていなかった
私は子供のころからずっと多忙だった母との接点が少なく
母の思い出も多くはなかったけれど
この時期、桜の花を見上げるたびに思い出す
亡き母との最期になってしまったお花見の話でありました
にほんブログ村